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子宮がんの腹腔鏡手術
2008年09月12日 (金) | 編集 |
子宮がんの腹腔鏡手術

試験段階、「早期」が対象
 和歌山県の60歳代の女性は、今春、早期の子宮体がんと診断され、手術を受けることになった。通常なら、腹部を大きく切開する開腹手術が行われるが、近畿大(大阪府大阪狭山市)で試験的に実施している腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた。「手術の傷跡がほとんど残らず、早く体力が回復したので驚いています」と話す。

 腹腔鏡手術は、腹部に小さな穴を数か所開け、腹腔鏡と呼ばれる小型カメラや、手術器具を入れて行う。すでに子宮筋腫(きんしゅ)や子宮内膜症など良性の病気では普及している。これに対し、子宮がんには、開腹手術が行われてきたが、最近ようやく腹腔鏡手術を応用する試みが広がり始めた。

 子宮がんには、子宮の入り口(頸部(けいぶ))にできる子宮頸がんと、奥の袋状の部分(体部)にできる子宮体がんがある。

 子宮体がんは、子宮の内側を覆う内膜から発生するがんだ。月経時以外の出血(不正出血)などの症状が出て、早期に見つかることも多い。

 がんが子宮体部にとどまる1期の場合、患者の5年生存率は約9割。標準的な治療法は、開腹して子宮と卵巣を取り出す手術(単純子宮全摘術)で、病状に応じて抗がん剤や放射線治療を追加する。

 この手術を、開腹せずに腹腔鏡を使って行う。近畿大では、おなかに5〜12ミリの小さな穴を4か所開け、小型カメラで内部をモニターに映して手術する。

 開腹手術なら手術後2週間の入院が必要なところを、腹腔鏡手術では、手術後3日で退院できる。

 「まだ試験的な段階なので、子宮内膜だけにがんがある1a期に対象を限っています」と同大産科婦人科教授の星合昊(ひろし)さんは説明する。10人以上の患者に行い、今のところ再発した例はないという。

 米国では、約2600人の子宮体がん患者を対象に、腹腔鏡手術と開腹手術の効果や安全性を比較する大規模な臨床試験が行われた。結果は解析中だが、「安全性に問題はなく、手術後の患者の身体機能の回復は開腹手術より早い」との中間報告が出ている。

 ただし、日本では保険が適用されていないため、臨床研究として実施するか、自費診療になり、費用は病院によって異なる。腹腔鏡手術の対象になるがんの進行度にも、病院による違いがある。

 腹腔鏡手術は、胃がんや大腸がんでは既に保険が適用されており、欧米や韓国では、子宮がんでも広く実施されている。専門医で作る日本産科婦人科内視鏡学会は、早期子宮がんの腹腔鏡手術の保険適用を国に働きかける方針だ。

(2008年9月12日 読売新聞)


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